屏風土代(平安•延長6年928•小野道風)

屏風土代と他の道風の真跡を比較して、何かが見えてくるかと思っていましたところ、『智証大師諡号勅書』は、道風の真跡ではないという論文を見付けました。 諡号勅書とは、天皇が高僧の徳をたたえて、国師号、禅師号、大師号などの徽号を僧の没後、勅命によ…

粘葉本和漢朗詠集(平安) 古筆の特徴

〈読み〉 下くくる水に秋こそかよふなれむすぶ泉の手さへ涼しき〈歌意〉 岩の下をくぐってくる水にはもう秋が通っているのであろう。すくい上げる泉の水は手までもが涼しい 私の思う古筆の主な特徴 ① 流れるような筆使い ②連綿(文字と文字を続けて書くこと…

化度寺故僧邕禅师舍利塔铭(唐631•欧陽詢)

欧陽詢の楷書の代表的な作品として、「皇甫誕碑(貞観年間)」、「化度寺塔銘(631年)」、「九成宮醴泉銘碑(632年)」、「温彦博碑(637年)」があります。 欧陽詢(557〜641年)は、南朝の陳時代に湖南省で生まれ。唐の貞観15年に85歳で亡くなりました。…

屏風土代(平安•延長6年928•小野道風)

真跡が汚れる原因の一つに法帖の制作があります。 法帖のほとんどは中国ですが、本家に倣って日本でも作られました。最も古いのは、江戸初期の 『本朝名公墨宝』(1645) 木版摺名筆模刻集。三冊。巻上に空海、小野道風、藤原佐理、藤原行成、藤原定実、世尊…

⭐︎書き方講座 粘葉本和漢朗詠集(平安)

〈読み〉 涼しやと草むらごとに立ちよれば暑さぞまさる常夏の花〈歌意〉 少しは涼しいかと思ってあちこちの草むらに立ち寄ってみると、一段と暑さがまさる常夏の花がさいているよ常夏の花=なでしこの別名 仮名の技法として、1番大切なことは、筆の鋒先が必…

化度寺故僧邕禅师舍利塔铭(唐•貞観5年631•欧陽詢)

(衆妙を極めて言を為し) 化度寺故僧邕禅师舍利塔铭の拓本は、以前お話ししたように20世紀初頭にイギリスの探検家•スタインとフランスの探検家•ペリオの中央アジア探検によって、発見されました。この拓本は厚い台紙の表裏に貼られた剪装本(拓本を切断して…

屏風土代(平安•延長6年928•小野道風)

(客を招いて僧を迎える) 屏風土代の紙はとにかく汚れています。楮紙とのことですが、下書きである為に紙質を問わなかったのでしょうか。全体に黒ずんで、やや毛羽立って見える箇所もあります。当時の常用紙がこの様な物だったのか、漉返紙を使用したのかよ…

粘葉本和漢朗詠集(平安)

〈読み〉 千年(ちとせ)までちぎりし松も今日(けふ)よりは君に引かれて万代(よろづよ)や経(へ)む 能宜〈歌意〉 千年まで寿命を保つと約束された松も、今日からは(万年の長寿を持つ)君に引かれたので、万年を経て生き続けるであろうよ 「和漢朗詠集…

化度寺故僧邕禅师舍利塔铭(唐•貞観五年631•欧陽詢)化度寺憎

化度寺は唐の都長安の城内にあり、西側城壁側の皇城西第三街の義寧房にあり、三階教という仏教の一派の仏教寺院です。旧寺名は真寂寺で、唐時代に化度寺と改名されました。一時洛陽城内の大福先寺に移りましたが、まもなくまた長安に戻りました。「化度寺故…

屏風土代(平安•延長6年928•小野道風)枕上心閑

屏風土代(平安•延長6年928•小野道風) 『枕上心閑』 小野道風と聞いて直ぐに思い浮かぶ逸話は、花札の絵柄にもなった(花札の柄で唯一の人間)『柳に蛙が飛びつこうと、繰り返している様を見て、書も諦めず精進することを学んだ』というものです。忠実であ…

粘葉本和漢朗詠集(平安)

こんにちは、今回は平安時代に書かれた 『粘葉本和漢朗詠集』の一節が素敵だったので紹介いたします。【変換】は(者)のよの(能)やみはあやなしむめのは(八)な(那)いろこそ(所)やはかくる【読み】春の夜の闇はあやなし梅の花こそ見えね香やは隠るる…

『師範への道』-始動-

こんにちは、趣味である『仮名』について発信していけたらと思います。 今回取り扱うのはこちらの粘葉本和漢朗詠集の一節。 【読み】春立つといふばかりにやみよしのの山もかすみて今日(けふ)は見ゆらむ 【歌意】「さあ春が来た」というばかりに吉野の山も…

宜しくお願い致します!